7月24日、堺市民会館大ホールにて第21組のお待ち受け法要が、「伝える」をテーマに、第30回夏季仏教講座をかねて実施されました。
次の世代に何をどう伝えていくのかを示唆してくださる講師を探しました。昼は、佐賀枝夏文氏(大谷大学教授)、「人生のものがたり?悲しみやつらい体験から見えてくるもの?」。夜は、中谷剛氏(アウシュヴィッツ・ミュージアム公式ガイド)、「アウシュヴィッツの歴史伝達?ヨーロッパの挑戦?」。
夜の部の動員が心配でした。そこで、身近な「堺大空襲」を学習。歴史伝達者中谷剛氏の本を配布して研修。それぞれがご門徒、ご縁のある人々や組織や新聞社に、チラシ配布などで広く聴講をよびかけました。二社の新聞社が記事にしてくれました。
また大阪教区御遠忌ブログに掲載。「現代でも起こりうる人間の心の弱さを見つめ続ける中谷さんのお話は、ぜひ多くの方に聞いていただきたい」というコメントもいただきました。
当日は猛暑の中、昼は約1000人、夜は500人が聴講しました。
中谷氏の「よそもの」体験からのアウシュヴィッツとの出会い、負の歴史にかかわった人々の心境の中に背景と原因があることを知る意義。最近20歳前後の若い見学者が急増し、昨年は65%をしめ、言語・民族・宗教などの異なる者がどう共存していくかを考える場として今アウシュヴィッツが存在する……という話に、多くの方々は見方を新たにしました。
「伝達」は、当事者の体験を通して、ことば、うた、ふるまい、ふれあいで地味に伝えられています。そこに気づいた私たちは身近な今の問題に置きかえて「考え」、「行動」、繰り返すことの大切さを知らされたお待ち受けでした。
第21組光浄寺・北畠顕信/しゃらりん第24号(2010年12月発行)より転載