南御堂シアター 宗祖の生涯を演劇で表現
伝統芸能の“能”も披露
難波別院では、御遠忌円成後の4月30日、「南御堂シアター」第2弾の能「土蜘蛛」と演劇「愚禿釋親鸞―道を求めて―」を、境内特設ステージで盛大に開催した。同シアターは、2部制で開催され、第1部の宗門関係学校の参観は、東大谷高校・京都大谷高校・光華小学校などから総勢約1000人を超える生徒が参加し境内を埋め尽くした。第2部の一般参観は約600人が訪れ、伝統芸能と迫力のある演劇を大いに楽しんだ。
臨場感あふれる演出
色鮮やかな照明と迫力の演技
当日は、山本能楽堂による能「土蜘蛛」が披露され、参加者は蜘蛛の巣糸を投げかけ襲い掛かる迫力のある場面や、伝統の舞台演技に見入った。また、テント内各所に設置されたモニターに、物語の謡(うたい)の内容が字幕で映し出され、初めて能を見学する参加者も親しみやすい舞台となった。
引き続き、九州大谷短期大学学長の大江憲成氏が挨拶を行い、九州大谷シアタープロジェクトによる演劇「愚禿釋親鸞」が披露された。
演劇では、混迷する時代の中、比叡山で苦悩する若き親鸞聖人と玉日姫との出会いから、流罪となり越後へ旅立つ場面までの創作を交えた物語の構成で、演劇の前半部分を演じた。夕方からの開催となった第2部は、薄暗くなった境内で、色鮮やかな照明の演出や「二河白道」で「火の川」と「水の川」にちなんだ赤や青の光と幕を使用するなど、表現力豊かな演出と演技を楽しんだ。
また、御遠忌法要結願に御親修されたばかりの大谷暢顯ご門首と妙子夫人並びに内局員の方々も訪れ=写真、夕刻の花冷えの中、最後まで真剣な眼差しで観劇された。
井上雄彦の作品屏風「親鸞」展示
同日、教化センター会館研修室では、御遠忌期間中に「本町ガーデンシティ(セントレジスホテル大阪)」の1階フロアで展示された、まんが家の井上雄彦氏作の屏風「親鸞」の展示が行われ、多くの観覧者が訪れた=写真。
また、同時展示された中村貞以画伯作の襖絵「親鸞聖人御得度の図」と「親鸞聖人御往生の図」の複製が、本堂前の特設ステージの左右に設置され、堂々と舞台を飾った。
(「南御堂』 第612号 2013年(平成25)6月1日 発行)